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行方がわからない相続人がいる場合は?

こんにちは。
大牟田市で司法書士・行政書士をしています、うさぎの司法書士事務所の田中章太です。

「親が亡くなったので相続手続きをしたいが、相続人である自分の兄弟とは長年会っておらず、連絡先も分かりません。どうすればよいでしょうか?」

そのようなご相談を受けることが多々あります。

今回は、行方が分からない・連絡が取れない相続人がいる場合に、どのように手続きを進めるかなどについてご紹介いたします。

相続手続きには相続人全員の協力が必要です

遺言書がない限り、相続手続きには、相続人全員の協力が必要です。

具体的には、相続人全員で遺産を誰が取得するかの話し合い(遺産分割協議)を行い、遺産分割協議書に実印で押印し、印鑑証明書を添付して相続手続きのために金融機関や法務局に提出して手続きを行います。

そのため、行方がわからない相続人がいる場合には、まずは住所を調べるところからはじめます。

相続人の住所を調べる

行方が分からない相続人がいる場合は、相続人調査で戸籍を取得する際に、「戸籍の附票」という書類も一緒に市役所に請求します。

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍されてから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されている書類です。

住民票上の住所は戸籍の附票から調べることが可能です。

手紙を送る

戸籍の票に記載された住所地あてに、「相続手続きをしたいので、ご協力いただけないでしょうか」というお手紙を送ります。

当事務所にご依頼いただいた場合は、当事務所からお手紙を直接相続人の方にお送りするケースと、文面を当事務所でアドバイスしたうえで、ご依頼者様から相続人の方にお送りいただくケースと2パターンあります。

いきなり司法書士事務所から手紙が届くと驚かれることもありますので、特段の事情がない限りは、まずはご依頼者様からお手紙をお送りすることをおすすめしています。

ここで連絡が取れれば、相続人間で遺産の分配に関する話し合い(遺産分割協議)を行います。

手紙が届かない場合

手紙を送ったが、「転居先不明」や「あて所に尋ねあたりません」との理由で手紙が返還されてきてしまった場合は、現地に赴き、近所の方や管理会社への聞き込み等を行うなどして、相続人の手がかりを探します。

不在者財産管理人選任の申立てを行う

方々手を尽くしても相続人の手がかりが見つからない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行うことを検討します。

不在者財産管理人とは、行方が知れない相続人(=不在者)の代わりに、その財産の管理、保存、処分を行う人で、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、他の相続人と遺産分割協議を行うことができます。

申立先

不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所

たとえば、不在者の最後の住所地が大牟田市の場合は、大牟田市にある福岡家庭裁判所 大牟田支部 に、不在者の最後の住所地が荒尾市の場合は、玉名市にある熊本家庭裁判所 玉名支部 に申立てを行います。

申立てに必要な費用

  • 収入印紙800円分
  • 切手代(2000円前後)

申立てに必要な書類

  • 申立書
  • 不在者の戸籍謄本
  • 不在者の戸籍附票
  • 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 不在の事実を証する資料
  • 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書,預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
  • 申立人と不在者の利害関係を証明する資料

選任までの期間

数カ月~半年

申立て後に必要な費用

場合によっては、予納金が必要なケースがあります。金額の目安は20万円から100万円です。

不在者財産管理人に弁護士や司法書士などの専門家が就任した場合は、報酬が必要となります。

報酬は不在者の財産から支払われますが、不在者の財産だけでは報酬を支払うことができないと家庭裁判所が判断した場合は、申立人に対して予納金の納付を求めることがあります。

権限外行為許可の申立て

不在者財産管理人が遺産分割協議を行うには、家庭裁判所の許可が必要となるため、権限外行為許可の申立てを行います。

遺産分割協議

不在者財産管理人に権限外行為の許可が出た後は、不在者に代わり、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加します。

ただし、不在者財産管理人は、不在者に不利な協議(全財産を不在者以外の相続人が取得するなど)を行うことができないため、不在者の法定相続分は確保する必要があります。

しかし、「不在者が戻ってきた場合に、他の特定の相続人が不在者に対して代償金を支払う」という内容の遺産分割協議(帰来時弁済型の遺産分割協議)を行うことで、不在者の相続分をゼロ(法定相続分以下)にすることは可能です。

相続手続

各相続人と不在者財産管理人が遺産分割協議書に実印で押印し、印鑑証明書を添付して各関係機関で相続手続きを行います。

最後に

相続人に行方がわからず連絡も取れないような場合は、手続きが複雑になり、手間や時間や費用が余分にかかります。

行方がわからない相続人がいて手続きが進められない場合は、うさぎの司法書士事務所までご相談ください。

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